Jinenya Macrobiotique Gluten-free Cooking
jinenya macrobiotique cooking recipes
Japanese food Nihonryōri 日本料理
汁物
汁物は通常献立の初めに出すが、小吸い物(筆洗い)は懐石料理の一汁三菜の食事の後に出す。
種類
すまし汁
味噌汁
★椀盛り(煮物椀) 懐石料理で出される実の多いすまし汁仕立ての料理。煮物と汁物の中間的なもの。旬の魚・肉・野菜を組み合わせて作る。80g~100gの椀種3~5種とあしらいを盛る。薄味仕立てにし、季節の食材の味を生かす。食材に合った椀を選び、美しく盛り付ける。
★うしお汁 鯛やスズキの頭やアラ、貝類で作る。鮮度の良い材料を使う。材料を水から入れて旨味成分を煮汁に出す。材料の臭みをとる(血の気を水で良く洗い流す・さらに霜降りしたあとに血の気や鱗を完全に取り除く・アクが浮き上がって汁が澄んできてからアクをすくい取る・アクをからめとるヌメリのでるツメ昆布を使う)。15分~20分弱火で煮て、材料の持ち味をだし汁に十分に生かす。塩味で調味するが、しょうゆを使うときは薄口しょうゆを少量落とし、汁に色をつけずに味を出す。
★すっぽん仕立て すっぽん・おこぜ・かわはぎ・こち・あいなめ等の旨味はあっても臭みのある魚で作る汁物。新鮮な材料で仕立てる。材料を霜降りにして水洗いし、水に多めの酒を入れ昆布を加えて煮ていく。アクは丁寧にすくい取る。身が柔らかくなってきたら醤油を加えて煮る。酒としょうゆでクセを消してだしで伸ばして味を出す。やさしい香りは吸口とせず、主に生姜の絞り汁を加えることが多い。
汁替り 吸い鍋、まつたけの土瓶蒸し、茶碗蒸し。
くず汁
★すり流し汁 魚介類、枝豆、ぎんなん、栗、豆腐などで作る。魚を材料とするときは、血の気を取り除いてすり鉢でよくする。すり身に筋などがあるときは裏ごしにかけると滑らかになる。供する直前に火にかけて混ぜながら煮立て、沸騰した火を止めてアクをすくい取る。汁が主体の料理なので、実は軽いもの(豆腐・ねぎ・きのこ等)を使い、汁が熱くなったところに入れる。吸い口は刻んだ木の芽やゆずの皮、わさび、しぼりしょうが、粉山椒等をふり入れる。
実だくさん汁
けんちん汁
のっぺい汁
酒かす汁
懐石・会席料理の汁
二汁供される。
一汁は味噌仕立て 冬 白みそ(西京味噌)仕立てでこってりと温かく。
春秋 白みそに赤みそを2・3割混ぜて用いる。(袱紗みそ=合わせ味噌)
夏 三州みそ(八丁みそ)、赤みそ(仙台みそ、越後みそ、信州みそ)で淡泊に仕上げる。
すまし汁の実
椀種(魚介類、鳥獣肉、卵、豆腐などのタンパク質)
たい、ひらめ、さより、きす、さわらむ、すずき、かます、あじ、たら、はも、こち、あまだい、とびうお、えび類、貝類、鶏、かも、しんじょ、つみれ、はんぺん、豆腐、ゆば、麩、卵など。
あしらい(季節感のある野菜やゆばや麩)
ほうれんそう、春菊、うど、たけのこ、ふき、つくし、わらび、冬瓜、さやえんどう、さやいんげん、こかぶ、にんじん、きゅうり、だいこん、生しいたけ、まつたけ、しめじ、貝割菜、芽ねぎ、じゅんさい、岩たけなど。
吸い口(香りの良い野菜や香辛料)
木の芽、ゆず、ゆずの花、わさび、針しょうが、しょうが汁、こしょう、実山椒、粉山椒、ごま、のり、青のりなど。
あしらいと吸い口を兼ねたもの
みつば、パセリ、せり、みょうが、ねぎなど。
だし取り
かつお節と昆布(一番だし)
用途 みそ汁、すまし汁
水 200g(1カップ200cc) 出来上がり量の20~30%(蒸発分と吸収分)増し
かつお節 4g(0.4カップ弱、水の2%)
昆布 2g(約4cm、水の1%) 乾いた布で軽く拭く、白い粉はマンニット(うまみ成分)なので残す。切れ目を入れておく。
水に昆布を入れて火にかける(蓋はしない)→水に気泡ができ(約80℃)て昆布が浮き上がってきたら昆布を引き出す。(昆布を入たまま煮立てると昆布くさいぬめりのあるだしになる)→かつお節を入れて沸騰したら火を止める(必要以上に煮ると渋み・生臭みが出る)→かつお節が沈んだら布巾で静かに濾す(布巾を絞ったりしない)
二番だし
用途 椀種の下煮、煮物
一番だしのだしがらに初めの水の半量を入れて5~6分煮出したもの
かつお節
用途 汁もの、そばつゆなど
水 200g(1カップ200cc) 出来上がり量の20~30%(蒸発分と吸収分)増し
かつお節 4g(0.4カップ弱、水の2%)、そばつゆは12g(1.2カップ弱、水の5~6%)
さば節、そうだがつお節は濃いだしがとれる
かつお節を入れて沸騰したら火を止める(必要以上に煮ると渋み・生臭みが出る)→かつお節が沈んだら布巾で静かに濾す(布巾を絞ったりしない
昆布(水出し)
用途 色を白く仕上げる料理、精進料理など
水 200g(1カップ200cc) 出来上がり量の20~30%(蒸発分と吸収分)増し
昆布 4g(約8cm、水の2%) 乾いた布で軽く拭く、白い粉はマンニット(うまみ成分)なので残す。切れ目を入れておく。
水に昆布を入れて4~5時間、または一晩つける。
昆布(湯出し)①
水に昆布を入れて火にかける(蓋はしない)→水に気泡ができ(約80℃)て昆布が浮き上がってきたら昆布を引き出す。(昆布を入たまま煮立てると昆布くさいぬめりのあるだしになる)
昆布(湯出し)⑵
良く味が出る方法。
水に昆布を入れて火にかける(蓋はしない)→弱火で30分かけてから火を強め沸騰直前(約80℃)に昆布を引き出し火を止める。(昆布を入たまま煮立てると昆布くさいぬめりのあるだしになる)
煮干
用途 みそ汁、惣菜用煮物など。
水 200g(1カップ200cc) 出来上がり量の20~30%(蒸発分と吸収分)増し
煮干 4g(水の2%) 頭と腹わたの黒い部分を取り除いて二つに裂く。
水に煮干を入れて中火にかける(蓋はしない)→煮立ってきたら火を弱め3~5分煮て火を止める。→布巾などで濾す。
刺身
種類
さく取り 生のまま切って食べる 1.5~2cm厚さ 6cm幅 18~20cm長さ 200g前後
洗い 薄くそぎ切りにして、冷水、氷水で洗って、表面をちぢれさせる
湯洗い そぎ切りにして60~70℃の湯に通して冷水にとる
皮霜作り 皮のみに熱湯をかけ、表面を霜降りにして氷水で冷やす
焼霜作り 表皮のみに焼目をつけて氷水で冷やす
酢しめ 酢に浸して身をしめる
昆布しめ 昆布の間にはさんで昆布の旨味をうつして、身をしめる
たたき 細かくたたききる
切り方
平作り(切り重ね) 包丁の峰をやや左に倒して、皮を上にして右から引くように切り、右側に少し倒して重ねていく
一文字 包丁を倒さないでまっすぐに切り、重ねない
引き作り(下手な人向け) 包丁をまっすぐにして引き切り、刺身を右におくらずそのまま次を切る
★切りかけ作り 一切れ7mm厚さの引き作りで中央に包丁目を入れる
かつおのたたき(大根おろし さらしねぎ おろししょうが にんにくの薄切り 細ねぎの小口切り)
しめさば(黄菊 わさび)
★そぎ作り 包丁の刃を右に寝かせて刺身の左側から引くように薄くそいで左に寄せる
すずきの洗い(刻みじそ 花丸きゅうり 山葵 すだちしょうゆ)
鯛の昆布しめ(岩茸 山葵 加減酢)
★糸作り(細作り) 包丁の刃先を使って細く切る
きすの細作り(菊花 山葵 いり酒)
角作り 四角く切る
薄作り 薄くそぎ切りにする
刺身のつま
生野菜のつまを刺身に添える
敷きつま(けん) 器に敷いて刺身を盛る
だいこん、きゅうり、みょうがだけ、みょうが、青じその葉、うど、キャベツ、にんじん、玉ねぎ
などを細く切って水にさらし、ピンとさせて盛る。
飾りつま(季節感) 春 菜の花、わらび、春蘭、つくし、芽うど、芽かんぞう、きんかん輪切り、防風、山菜など
夏 紫芽、夏ねぎ、キュウリの雄花(花丸)、たで、おかひじき(松葉)など
秋 花穂じそ、菊花、花みょうがなど
冬 生のり
季節のないもの 岩たけ、水前寺のり、じゅんさい、ばくだい、かぶら骨、紅たで、エシャロット、きく
らげ、とさかのり(赤・青)、さんごのり、米のり、おごのり(うご)、あおさ、みる、青のり、海そうめん、
新わかめ、もずくなど
辛味
刺身の旨味を引き立てる
焼き物
マクロビオティック・レシピ
さしみこんにゃくの昆布絞め
2日以上漬けるとこんにゃくがこりっとして昆布の香りが濃厚でおいしい
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マクロビオティック・レシピ
替り刺身のつま
だいこんと青しそのさわやかな刺身のつま
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主菜としての焼き物
前に出される刺身か゛淡泊・小ぶりであるときは、焼き物は濃厚な味で70~100gの正味量が適当である。
ご飯のおかずの場合 味の濃厚なもの(照り焼きなど)
酒の肴の場合 あっさりしたもの
懐石料理では焼き物の替りに蒸し物、煮物を出すこともある。
焼き物の種類
直火焼き、間接焼
直火焼き(放射熱) ( 強火で遠火)
塩焼き、照り焼き(照りしょうゆをかけて焼く)、 幽庵焼(幽庵地につけておいて焼く)、
★西京焼き(味噌漬け焼) 魚を味噌につけて焼いたもの。魚の身がしまり、味か浸み込み、生臭みが消える。焦げ色と香ばしい香りが良い。
田楽(練味噌を塗って焼く) 素焼きにした豆腐に赤味噌・八丁味噌・白味噌などの練味噌を塗って表面を乾かす程度にあぶり焼きしたもの。味噌の色付けには★青寄せ(ホウレンソウ・大根葉・小松菜などの濃い緑色の葉と塩をすり鉢ですり、水を加えて裏ごししたものを煮立てて浮き上がった緑を布でこして水で冷やしたもの)を使う。和え物や寄せ物などの色つけにも使う。
蝋焼(黄身を塗って焼く)
間接焼(伝導熱)(フライパン、アルミ箔、貝殻などで高温で焼く)
鍋焼き、ほうろく焼、包み焼、壺焼き、卵焼き
焼き物の要点
直火焼き
表になる方から焼く。表四分、裏六分の割合で焼く。
形よく焼き上げる(姿、片づま、両づまなどの形に串を打つ)
表面に適度な焦げ目、旨味を逃さず、中心が生焼けにならないように焼く
前盛り
焼き物に添えるもの
酸味のある物、甘酸っぱい物、季節感のある物、焼き物の味を引き立てる物を1~2品添える
春の前盛り はじかみの酢漬け、うどの甘酢漬け、菜の花の塩漬け、きゃらぶき、ソラマメ
夏の前り きゅうり、ししとう、枝豆、白うり、青梅、ベビーコーン
秋の前り 菊花かぶ、花ばす、ダイコン漬け、みょうがの酢漬け、さつまいも栃尾煮、百合根甘煮、ぎんなん、栗甘露煮
冬の前盛り くわい甘煮、ゆず砂糖漬け、こかぶ漬け
揚げ物
懐石料理では、焼き物のかわりに出されることもある
揚げ物の種類
す揚げ 食材をそのまま揚げたもの
★吹寄せ揚げ 揚げ物を何種類も彩りよく盛り合わせた料理。秋の料理として季節の野菜・
ぎんなん・きのこ・ゆば・栗・紅葉麩などを用いて作る。素揚げした食材を風に吹き寄
せられた落葉のように盛り合わせる。
から揚げ 乾いた衣(小麦粉、上新粉、片栗粉、本くず粉など)をつけて揚げたもの
ころも揚げ 濡れた衣(てんぷら粉)をつけて揚げたもの (はるさめ、道明寺粉、あられ、そば、そうめん、ごまなどをつけるも のもある)
揚げ物の要点
材料がかぶるくらいの油を用意する(揚げ鍋の中央の油の深さは5cm以上)
油の温度を一定に保つ(鍋は厚い物、揚げる食材は鍋の表面積の半分くらいが適当)
揚げカスをすくってから、次の材料を入れる
揚げる直前にころもをつけて揚げる
盛り付けの表になる側を上にして油きりをする
揚げたてを供する
油の後始末
油は熱いうちに油こしで濾す
油が酸化しないようにする(空気や光に触れない様にふたをして、冷暗所に保管する)
煮物
食品を煮汁とともに加熱して、食品の持ち味を引き出しつつ調味料を食品にしみこませる料理
煮物鉢 旬の食材の炊き合わせ
煮物椀(懐石料理り椀盛り) 実の多いすまし汁
含め煮 だしを含ませた煮物
煮物の種類
煮しめ 煮汁がからまる程度の煮物
煮つけ 煮汁を煮立てた中に食材を入れて煮たもの
★若竹煮(相性の良い食材のわかめと竹の子の煮物。竹の子の甘味を生かすために薄味に調理
する。新わかめの色と香りが加わって春の香りのする煮物)
含め煮 たっぷりの煮汁でゆっくり時間をかけて煮汁を食材に含ませるように煮る煮物
色煮(白煮、青煮) 材料の色を生かした煮物
★吹寄せ煮 煮物を何種類も彩りよく盛り合わせた料理。秋の料理として季節の野菜・
ぎんなん・きのこ・ゆば・栗・紅葉麩などを用いて作る。煮た食材を風に吹き寄
せられた落葉のように盛り合わせる。
甘煮
味噌煮
酢煮
炒め煮 炒めた食材を煮る(濃厚なうまみを作る)
★揚げ煮 揚げた食材を煮る(濃厚なうまみを作る) 粟麩の揚げ煮(粟麩を175℃の油で揚げて油抜きしたも
のを煮込んだ、こってりとコクのある煮物。)
沢煮 薄味であっさり仕上げる煮方
すっぽん煮 くせのある食材を酒を多めに加えただしで煮る
しぐれ煮 濃い味で生姜を加えて煮る
★有馬煮 山椒を使った煮物。山椒の産地兵庫県有馬にちなんだ料理。
吉野煮 葛煮
治部煮 鴨にそば粉や小麦粉をつけて煮る(石川県郷土料理)
あら煮
おろし煮
あめ煮(甘露煮)
佃煮
煮物の要点
食品の持ち味を生かした煮方を選ぶ。
鮮度のよい食品は薄味で手早く煮る。鮮度の落ちたものは炒め煮や濃い味付けにする。
適切な鍋を選ぶ 大きく切った大根・芋などは火の当たりがやわらかい厚手の鍋を使う。魚の煮つけは直径の大きい浅鍋を使っ
てひと並べにして煮る。芋の煮つけは深鍋を使って煮汁を充分含ませる。
鍋割りによって、食材に熱を均一にゆき渡らせ、切り方や煮えかたの遅速を考慮することで同時に煮あがる。
調味方法 合わせ調味料で煮る方法(魚の煮つけなど)
調味料を順番に入れて煮る方法(食品が柔らかく煮えてから、砂糖→塩・しょうゆ・味噌(しょうゆの香りを逃がさ
ない為に煮あがる直前に入れる)
火加減 強火で煮立てる→弱火で沸騰が続くようにする
調味料パーセント
たんぱく質食品 2~2.5%塩分 3~7%糖分
葉菜類煮びたし 0.8~1%塩分 1%糖分
葉菜類炒め煮 1.2%塩分 2~3%糖分
大きく切った大根・かぶ 1~1.2%塩分 3%糖分
人参 1.2%塩分 6%糖分
ごほう 1.5%塩分 4%糖分
蒸し物
水蒸気で食品を加熱した優しい味わいの調理法。焼き物、煮物の代わりにも用いられる
蒸し物の種類
淡泊な味わいの食品を使う
卵の蒸し物 卵豆腐、茶碗蒸し、小田巻蒸し、空也蒸し、南禅寺蒸し
魚の蒸し物 酒蒸し、かぶら蒸し、薯蕷蒸し、道明寺蒸し、更紗蒸し、若菜蒸し、信州蒸し、
★けんちん蒸し(けんちんは建長・卷繊とも書く。細かく切った野菜と豆腐を炒めて調味するか、
しょうゆ・みりんなどで煮たあと、湯葉に捲いて揚げた中国から伝わった精進料理が元。現在
の和食では背開きにして中骨を除いた白身魚に詰めるなどして蒸した料理。くずあんをかける
ことが多い。詰め物には、つなぎに卵を用いることもある。
桜蒸し
その他の蒸し物 土瓶蒸し、甲羅蒸し、地獄蒸し(湯せん法、温度を加減できる)
蒸し方の要点
卵の蒸し物 さましただしとよくほぐした卵を混ぜ、濾すと均一になる
火加減は弱火(80~90℃)で15~20分蒸す(卵黄の固まる温度70~75℃、卵白の固まる温度60~85℃)
90℃以上にならないようにする(すが立つ)
蒸し器の蓋から蒸気が少し逃げるようにする
蒸し器の蓋の下に布巾をわたす(水滴が卵に穴をあけないように)
魚の蒸し物 新鮮な白身魚を使う
切り身魚は40~50gの切り身の皮に包丁目を入れておく(蒸して皮が縮んでも皮がさけない)
中火~強火で15分蒸す(あわびは30~60分)
蒸し物の味付け 薄味にして持ち味を生かす
酢の物
材料の旨味と酸味の清涼感を味わう料理
会席料理の酢の物 献立の最初または途中、野菜のみのものは終わりころに出す
懐石料理の酢の物 向付に用いる
酢の物の材料
春 きゅうり、みょうがたけ、わけぎ、生シイタケ
夏 きゅうり、しそ、みょうが、キャベツ
秋 大根、まつたけ
冬 れんこん、大根
食材の下処理
野菜類は塩をして水気をきって用いる
合わせ酢
二杯酢
わさび酢
三杯酢
からし酢
みぞれ酢
甘酢
梅肉酢
黄身酢
酢の物の要点
新鮮な材料を使う
醸造酢を使う
材料に下味をつける 野菜は0.5~1%の塩をして脱水させる
魚は4%の塩でしめ、酢洗いして臭みをとる
合わせ酢の割合は食材の6~10%を用いる
供する直前にあえて、冷たくして出す
一人分50~70gを盛り付ける
和え物
空気を含ませたころもを具にきせかける料理
具は淡泊な野菜類、ころもは濃厚なうまみのあるものを用いる
ころもの種類
白和え 水気を切った豆腐、すりごま、甘味、塩
白酢和え 白和えのころもを酢でのばしたもの
酢味噌あえ みそ、甘味、酢
からし酢味噌あえ みそ、甘味、塩、からし
卯の花和え 卯の花に調味料を加える
くるみあえ 渋皮をとったくるみをすったもの、しょうゆ、甘味
胡麻和え 胡麻、しょうゆ、甘味
胡麻酢和え 胡麻和えに酢を加えたもの
落花生和え 落花生、甘味、しょうゆ
具の扱い方
野菜類 塩をふってしんなりしたら水気を絞ってつかう
しいたけ、ぜんまい、わらび、芋類、ずいき、生麩 薄味で下煮してつかう
魚 塩で締めて、酢洗いしてから用いる
ねぎ、あさつき、青菜、豆腐、百合根 茹でて用いる
くらげ、貝類 さっと湯に通して霜降りにして使う
ひじき、きくらげ、庄内麩、わかめ、水前寺海苔 水でもどして用いる
和え物の要点
十分に冷ましたものを合える
食べる直前に合える(卯の花合え、白和え、白酢合えは時間をおくと味がなじむ)
合える具を舌調理する 下煮、塩でしめる、酢洗いする、しょうゆ洗いする(下味はころもより薄くする)
盛り付け 客用50g位、惣菜用100g位
マクロビオティック・レシピ
大豆たんぱくの西京焼き
味噌に漬け込むと大豆臭さが消えて美味しくなる
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マクロビオティック・レシピ
茄子の田楽 グルテンミート味噌
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マクロビオティック・レシピ
豆腐の田楽 かわり味噌3種
豆腐の水切りと焼加減がポイント
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マクロビオティック・レシピ
精進 吹き寄せ
風に吹き寄せられた落葉を思わせる秋の味覚をもりあわせる
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マクロビオティック・レシピ
三色揚げ
抹茶、カレー、紅ショウガの変わり揚げ
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マクロビオティック・レシピ
揚げだしゴマ豆腐
表面はカリット香ばしく、中は熱くてとろとろ
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マクロビオティック・レシピ
里芋 粟麩 炊き合わせ
秋らしい炊き合わせ
粟麩は植物性のたんぱく質でモチモチして美味しい
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マクロビオティック・レシピ
にんじん色煮
にんじんの色を生かした煮物
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いんげん青煮
いんげんの緑色を生かした煮物
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マクロビオティック・レシピ
生麩のかぶら蒸し
寒い冬に欠かせない一品
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マクロビオティック・レシピ
けんちん蒸し
中国から伝わった精進料理
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マクロビオティック・レシピ
薯蕷蒸し
大和芋が香り良い蒸し物
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マクロビオティック・レシピ
長芋の二杯酢
さっぱりとした酒の肴
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マクロビオティック・レシピ
春菊 しめじ 菊花 柚子酢浸し
柚子の酸味がさわやかな秋の一品
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マクロビオティック・レシピ
こんにゃく白和え
なめらかな豆腐の食感
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マクロビオティック・レシピ
しいたけの卯の花和え
卯の花はおから、雪花菜ともいう
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マクロビオティック・レシピ
ふきの白酢和え
さっぱりとしたなめらかさ
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本膳料理
「食事をとる」という行為に儀式的な意味合いを持たせている料理
・室町時代に確立された武家の礼法から始まる
・江戸時代に発展
・明治時代以降ほとんど廃れる
・現在では冠婚葬祭などの料理に面影を残す(婚礼の三々九度など)
茶会における宴会の本膳は「懐石」と呼び区別される
日本における宴会は酒礼・饗膳・酒宴の三部から構成される。
酒礼は一同に酒が振る舞われる儀礼で、今日の乾杯や「駆付け三杯」にあたる。
酒礼の後には飯汁を中心とした饗膳(膳、本膳)に入り、茶や菓子も含まれる。
室町時代に主従関係を確認する杯を交わすため室町将軍や主君を家臣が自邸に招く「御成」が盛んになり本膳料理が確立した。本膳料理の確立に伴い、室町時代から江戸時代には「献立」の言葉が使用され、饗宴における飲食全体を意味した。
本膳料理の形式
本膳料理は七五三の膳を正式な形式としているが「七五三」の意味は本膳に7、二の膳に5、三の膳に3の菜が盛られる菜の数を示すとする説がある。
本膳料理は少なからず儀礼的な物であり、この後に能や狂言などの演技が行われつつ、後段と呼ばれるうどんや素麺といった軽食類や酒肴が出されて、ここで本来の意味での酒宴になった。なかには三日近く行われた宴もあったようだ。
膳組としては一汁三菜、一汁五菜、二汁五菜、二汁七菜、三汁五菜、三汁七菜、三汁十一菜などがあったとされる。もっとも基本的な形は、本膳には七菜(七種の料理)、二の膳には五菜(五種の料理)、三の膳には三菜(三種の料理)を配膳するものである。
式三献
式三献は宴会の三部のうち、はじめの酒礼にあたる。式三献では、初献に海月・梅干・打鮑、二献に鯉のうちみ(刺身)、三献にはわたいりが出されることが通例であるが、これらには箸をつけず、実際に食されることはない。式三献は、武家社会において、新たに生み出された儀礼であると考えられる。式三献は今日の結婚式における三三九度として形を残している。
配膳
配膳の順序は、本膳、二の膳、三の膳、四の膳、五の膳の順にし、上座の客を先に、順次、下座の客におよぶようにし、最後に主人に配膳する。本膳は客の正面に、二の膳は客から向かって本膳の右に、三の膳は同じく左に、四の膳は、本膳のむこうがわ、本膳と二の膳との間に、五の膳は、同じく本膳と四の膳との間にかけて置く。膳組みは、江戸前期のころ、一の膳、二の膳、三の膳として分けていたが、天保のころ、まず、最初に出す膳を、「一」と書かずに「本膳」と書くようになった。
本膳料理の基礎は、一汁三菜にある。「菜(さい)」は「な」のことであり、副食物のことを指す。
一汁三菜の内容は、飯、汁、香の物、なます、煮物、焼物であり、飯と香の物は、数えない。
[一汁三菜]
本膳 …… なます、汁、平、飯、香の物、焼物、取肴、吸物、酒、菓子、薄茶
なます …… 鱠または膾と書き、魚を使ったときと、野菜を主に使ったときを区別する。和(あ)え物か酢物で、小鉢か小丼に盛る。
平(ひら)…… 煮物のこと。海、山、里のものを5種類ほど、取り合わせ、平たい蓋付きの椀に盛る。
「取肴」(とりざかな)…… 口取肴で、はしからとる(小口から取る)肴ということであり、酒の「肴」のことをいう。肴とは、平安時代から使われている言葉。「菜」(な)は、副食物のことを指す。酒に添える料理(酒に添える副菜)を「酒のな」と呼び、これが、なまって 「酒な」となり、「肴」となった。海の物、野の物、山の物など、3~5品を盛り、一品ごとに、甘いもの、酸味のもの、辛味のものなどにして、重複をさけている。向こうを高く、手前を低く、大きめの器に盛る。
[一汁五菜]
本膳……なます、汁、坪、飯、香の物、焼物、平、猪口、吸物、台引、酒、菓子、薄茶
坪 …… 二番目の膳につける「平」と区別して、本膳につけられる煮物のことを、「坪」という。野菜の煮物やしんじょ(魚肉のすりつぶしの蒸物)のあんかけを、蓋付きの深い器、すなわち、坪(坪は、壷とも書き、壷形の器)に盛りつけて出す。
猪口(ちょく)…… 器の名称で、イノシシの口に似ているところから、猪口と呼ぶ。飲酒用の杯や付け醤油の容器をさす場合と、酢の物、和え物など、小さな器に盛る料理をさす場合がある。
台引 …… 台引といって口取(蒲鉾、金とん、羊かん、伊達巻きなど) がつく。現在は、酒が主体になったため、口取の内容も変化し、枝豆、あわびの蒸し焼きなどにかわってきている。
[二汁五菜]
本膳 ……… なます、汁、坪、飯、香の物、焼物
二の膳 …… 平、汁、猪口、吸物、台引、酒、菓子、濃茶、後菓子、薄茶
一汁五菜の献立に、「二の汁」を加えて、「二の膳」にしたものである。現在、最も、多く用いられている膳組である。
[三汁七菜]
本膳………なます、汁、坪、飯、香の物
二の膳……平、汁、猪口
三の膳……椀、汁、刺身
焼物膳、引き物膳
本膳の「一の汁」は、味噌仕立て。二の膳の「二の汁」は、多くが、すまし汁仕立て。三の膳の「三の汁」は潮(うしお)仕立てである。潮仕立ては、すましの一種である。煮だし汁を用いず、魚貝類を、水から入れて煮出し、塩味だけで調味したものである。もとは、海水で仕立てたといわれ、鯛の潮仕立ては、最高とされている。
椀……椀盛りの煮物汁のこと。
焼物膳は、小鯛の尾頭付きの塩焼きが普通であり、これを、 「与の膳」 と称する。四(死)の数を嫌い、「四の膳」とはいわず、「与の膳」といった。
引き物膳は、口取が盛られた、おみやげ用の膳で、「台引」ともいう。「五の膳」と称する。
焼物膳、引き物膳は、箸をつけないで、折り詰めにして持ち帰る。こん日の結婚披露宴の引出物は、この形を変えたものである。 儀式のときは、普通、天婦羅などの揚げ物を出さない。が、揚げ物を出すときは、焼物のかわりに出される。
重箱
重箱とは二重から五重に積み重ねられ最上段に蓋を付けたハレの日の料理を入れる箱である。四季を表す四重が正式とされる。4段目は四の字忌避で「与の重」と呼ぶ。室町時代の文献の中に既に「重箱」の記述を見ることができるので、その歴史はかなり古いと考えられる。一般庶民に普及したのは江戸時代。武家や大名のもとでは、漆塗や蒔絵の豪華なものも作られた。また、狩りなどに出かけるときに持ち運びに便利なものが使用された。
重箱は、本格的な料理には初め用いなかったが、硯蓋(すずりぶた)などが食器として使用されるに及んで、重箱を用いる場合も出てきた。江戸時代の宝暦(ほうれき)(1751~64)ごろから上巳(じょうし)の節供が盛んになり、その料理を盛るのに重箱を用いている。さらに正月の祝い料理には、五重、四重、三重などに区分して用い、その風習はいまも続いている。
重箱に詰めるものは、たとえば五段重では、一の重に祝い肴(ざかな)、二の重に口取り、三の重に焼き物、与(四)の重に煮しめ、五の重には酢の物を入れる。酢の物を焼き物と同じく三の重に詰めた場合は五の重は控えの重として、祝い肴やそのほかの重と同じ物を予備に詰めておく。四段重の場合は、焼き物を詰めた三の重に酢の物もいっしょに入れる。祝い肴としては黒豆、田作り、数の子などが、口取りにはきんとん、錦卵(にしきたまご)、紅白かまぼこ、伊達巻(だてまき)など、焼き物ではサワラの西京(さいきょう)焼き、ブリの照焼き、クルマエビの酒塩(さかしお)焼き、イカの松風焼きなど、酢の物では紅白なます、酢ばす、コハダの粟(あわ)漬け、サバの生(き)ずしなど、煮しめではクワイ、蓮根(れんこん)、シイタケ、ニンジン、キヌサヤエンドウなどが彩りよく用いられる
会席料理
宴会や会食で用いられるコース形式の日本料理。 連歌や俳句の会席で、本膳料理を簡略化したもの。 献立に従って、一品ずつ食べていく「喰い切り」のものと、宴会時の配膳方式のものと2種類あり、いずれも一品料理ではない。
献立
会席料理の献立は、一汁三菜が基本である。現在の三菜は懐石にならって、刺身・膾、吸物・煮物、焼物・焼魚とすることが多い。さらにお通し・揚げ物・蒸し物・和え物・酢の物などの肴が加えられ、最後に飯・味噌汁・香の物、水菓子となる。
先付(さきづけ)・・・ 前菜
椀物(わんもの)・・・ 吸い物、煮物
向付(むこうづけ)・・・ 刺身、膾
鉢肴(はちざかな) ・・・ 焼き物、焼魚
強肴(しいざかな) ・・・ 炊き合せ等
止め肴 ・・・ 原則として酢肴(酢の物)、または和え物
食事 ・・・ ご飯・止め椀(味噌汁)・香の物(漬物)
水菓子 ・・・果物
ご飯、止め椀、漬物は同時に供される。ただし上記以外にも油物(揚げ物)や蒸し物、鍋物が出ることがある。油物が供される場合には一般に強肴のあとである。飲み物は基本的に日本酒、または煎茶である。近年はほうじ茶やコーヒーが出されることもある。
懐石料理
茶の湯において正式の茶事の際、会の主催者である亭主が来客をもてなす料理をいい、禅寺の古い習慣である懐石にその名を由来する。江戸時代になって茶道が理論化されるに伴い、禅宗の温石に通じる「懐石」の文字が当てられるようになった。懐石とは寒期に蛇紋岩・軽石などを火で加熱したもの、温めたコンニャクなどを布に包み懐に入れる暖房具を意味する。懐石が料理に結び付く経緯は諸説あり、修行中の禅僧が寒さや空腹をしのぐ目的で温石を懐中に入れたことから、客人をもてなしたいが食べるものがなく、せめてもの空腹しのぎにと温めた石を渡し、客の懐に入れてもらったとする説がある。その食事の形式として一汁三菜(或いは一汁二菜)が定着した。また江戸時代には、三菜を刺身(向付)、煮物椀、焼き物とする形式が確立する。さらに料理技術の発達と共に、「もてなし」が「手間をかける」ことに繋がり、現在の茶道や料亭文化に見られる様式を重視した「懐石」料理が完成した。懐石と会席料理は音が共通するため、しばしば混同されるが、両者は全く別のものであり、料理を提供する目的も異なっている。懐石は茶事の一環であり、茶を喫する前に出される軽い食事で、酒も提供されるが、目的は茶をおいしく飲むための料理である。一方、会席料理は本膳料理や懐石をアレンジして発達したもので、酒を楽しむことに主眼がある。料理の提供手順も異なっているが、顕著に異なるのは飯の出る順番である。懐石では飯と汁は最初に提供されるが、会席料理では飯と汁はコースの最後に提供される。
正午の茶事の懐石を想定した流れ。
[飯、汁、向付]
飯碗、汁碗、向付を乗せた折敷(おしき、脚のない膳)を亭主自ら運び、客に手渡す。客側から見て、膳の手前左に飯椀、手前右に汁椀、奥に向付が置かれ、手前に利休箸(両端が細くなった杉箸)を添える。箸置は用いず、箸は折敷の縁に乗せかけてある。飯椀と汁椀は塗り物の蓋付き椀、向付は陶器製の皿を用いるのが普通である。飯椀には炊きたての柔らかい飯を少量盛り、汁椀の味噌汁も具が頭を出す程度に控えめの量にする。向付は一汁三菜の1菜目に当たるもので、お造り(刺身)などを盛る。飯は裏千家では一文字に形を整え、表千家ではふっくらと盛る。表千家では、飯は一口程度を残し、後で出される湯漬けのためにとっておく。汁は全部吸い切り、向付は後ほど酒が出されてから手を付けるのがマナーとされている。
[酒]
客が汁を飲み切った頃合を見て、亭主が銚子(または燗鍋)と盃台(客の人数分の盃が乗っている)を運び、客に酒を注ぐ。客はここで向付の肴に手を付ける。酒は懐石の中で3回ほど出される。
[煮物]
1献目の酒が出された後、一汁三菜の2菜目に当たる煮物碗が出される。煮物椀は飯椀や汁椀よりやや大きめの蓋付き椀を用いる。煮物は懐石のメインに相当する料理であり、しんじょ、麩、湯葉、野菜などを色取りよく盛り、すまし汁仕立てにすることが多い。煮物の前か後に飯次(飯器)が出される。人数分の飯が入っており、客は各自の飯椀にお替りの飯を付ける。また、亭主から汁替えが勧められ、味噌汁のお替りが運ばれる。
[焼物]
焼物は一汁三菜の3菜目に当たる。煮物椀が客一人一人に配られるのに対し、焼物は大きめの鉢に盛った料理(焼魚など)を取り回す。取り箸は青竹か白竹製で中節の取り箸を用いる[6]。客は鉢からめいめいの食べる分を取り箸で取り分け、向付か煮物碗の蓋に取る。なお、焼物は重箱(引重)で出す場合もあり、その場合は重箱の下の段に焼物、上の段に香の物を入れる。このあたりで2度目の飯次が出され、2度目の汁替えも勧められるが、汁替えは客の方で断るのが通例となっている。また、煮物の後か焼物の後に亭主がふたたび銚子を持ち出し、2献目の酒が勧められる。酒は客同士が注ぎ合う。
[預け鉢]
現代の茶事では、一汁三菜に加え「預け鉢」あるいは「進め鉢」と称して、もう1品、炊き合わせなどの料理が出されることが普通である。これも焼物と同様に、大きめの鉢に盛り合わせた料理を天節(止節、節が持ち手の端にあるもの)の取り箸で取り分ける[6]。なお、流派によっては「強肴(しいざかな)」と称する場合もある。
[吸物]
客(末客)は、空いた鉢、銚子、飯次などを給仕口の手前に返す。亭主は頃合いを見て、吸物椀を運ぶ。これは食事の最後に出される小さめの吸物で、「箸洗い」「すすぎ汁」とも称する。以後は盃事となる。なお、吸物椀の蓋は後ほど酒の肴を受けるために使用する。
[八寸]
八寸(約25cm)四方の杉の素木の角盆(これを八寸という)に、酒の肴となる珍味を2品(3品のこともある)、品よく盛り合わせる。2品の場合は、1つが海の幸ならもう1品は山の幸というように、変化をつけるのがならわしである。亭主は正客の盃に酒を注ぎ、八寸に盛った肴を正客の吸物椀の蓋を器として取り分ける(両細の取り箸が用いられ、それぞれの端が酒肴によって使い分けられる[6])。酒と肴が末客まで行き渡ったところで、亭主は正客のところへ戻り、「お流れを」と言って自分も盃を所望する。その後は亭主と客が1つの盃で酒を注ぎ合う。亭主は正客の盃を拝借するのが通例である。正客は自分の盃を懐紙で清め、亭主はその盃を受け取り、そこに次客が酒を注ぐ。その次は、同じ盃を次客に渡し、亭主が次客に酒を注ぐ。以下、末客が亭主に、亭主が末客に酒を注ぎ合った後、亭主は正客に盃を返し、ふたたび酒を注ぐ。このように、盃が正客から亭主、亭主から次客、次客から亭主、と回ることから、これを「千鳥の盃」と称する。
客が上戸の場合は、さらに「強肴」(しいざかな)と称される珍味が出される場合もある(強肴は「預け鉢」の前後に出される場合もあり、「預け鉢」そのものを「強肴」と称する流派もある)。
[湯と香の物]
納盃した後、湯桶(湯斗、湯次)と香の物が出される。湯桶には湯と共に「湯の子」が入っている。湯の子は飯の「おこげ」が本来だが、炒り米等で代用することもある。添えられた湯の子すくい(柄杓)で湯の子を取って飯椀と汁椀に入れた後、両碗に湯を注ぎ、飯椀に少量残しておいた飯で湯漬けをする。最後は湯を全部飲み切り、器を懐紙で清めて亭主に返す。これは禅寺の食事作法を取り入れたものである。
[菓子]
食事の後に菓子が出される。菓子は縁高(ふちだか)と称する重箱に入っており、黒文字と称する木製の楊枝が添えられている。縁高は客の人数分重ねられ、1段に1個の菓子が入っている。正客は縁高の一番下の段を残し、残りを次客に送る(次客も同様にする)。菓子は懐紙に取り、黒文字を使って食する。
精進料理
精進料理(しょうじんりょうり)とは、仏教の戒律に基づき殺生や煩悩への刺激を避けることを主眼として調理された料理。
精進料理の特徴は、野菜・豆類など、植物性の食材を調理して食べることにある。サラダのように一品の料理として野菜を生のまま食べるという概念が日本の食文化に定着するまでは、野菜・豆類は基本的に加熱調理する必要があった。これらを使う精進料理は、あく抜きや水煮といった時間と手間のかかる下処理を必要とすることが多いのが、特徴のひとつである。これらの複雑な調理技術や使用する食材に対する概念は、多くの料理人や料理研究家に影響を与え、料理分野全体の水準向上に貢献してきた。また、精進料理は極めて単純な食材を、多くの制約がある中で調理するため、さまざまな一次・二次加工が施されてきたことも特徴のひとつである。例として、大豆は栄養価が高く、菜食で不足しがちなタンパク質を豊富に持つこともあり、精進料理に積極的に取り入れられたが、生食は困難である。このため、風味を向上させ、長期保存し、食べる者を飽きさせないといった目的も含めて、豆豉、味噌、醤油、豆乳、湯葉、豆腐、油揚げ、納豆などが生み出された、こうした技術は、精進料理を必要とする寺院と宮廷を含むその周辺の人々によって、研究・開発され、蓄積されてきた。
鎌倉時代以降の禅宗の流入は、特に精進料理の発達に寄与した。平安時代までの日本料理は魚鳥を用いる反面、味が薄く調理後に調味料を用いて各自調製するなど、未発達な部分も多かった。それに比べて禅宗の精進料理は、菜食であるが、味がしっかりとしており、身体を酷使して塩分を欲する武士や庶民にも満足のいく濃度の味付けがなされていた。味噌やすり鉢といった調味料や調理器具、あるいは根菜類の煮しめといった調理技法は、日本料理そのものに取り入れられることになる。また、豆腐、氷(高野)豆腐(凍豆腐)、コンニャク、浜納豆(塩辛納豆ともいう)、ひじきといった食材も、精進料理の必須材料として持ち込まれたと考えられる。
永平寺式の精進料理は、室町時代から江戸時代前期にかけて普及した本膳料理に通じる。また、懐石料理は精進料理から派生したものである。現在でこそ、(同音異義の会席料理との混同もあり)豪華なものとなっているが、当初は質素で季節の味を盛り込んだものであり、精進料理の精神が活かされたものであった。普茶料理は、中国料理の調理法が日本風にアレンジされながら、けんちん汁、のっぺい汁、葛粉を利用した煮物や炒め物、揚げ煮といった料理や調理法が普及した。点心の風習は室町時代に中国から伝わった風習で、軽食として饅頭・羊羹・うどん・素麺などが供された。当初は公家や武士が中心だったこの風習は、やがて庶民にも広がり、現在の昼食につながっていった。
普茶料理
普茶料理(ふちゃりょうり)は、江戸時代初期に中国から日本へもたらされた精進料理。葛と植物油を多く使った濃厚な味、卓を囲み大皿に盛った料理を各人が取り分けるのが特徴である。
江戸時代初期の1654年、中国(現在の福建省)の禅僧隠元隆琦が来日。1661年には山城国宇治(京都府宇治市)に萬福寺を開き、禅宗の一つである黄檗宗の開祖となった。隠元は、中国式の禅文化を日本に伝えるとともに、インゲンマメ、孟宗竹、スイカ、レンコンなど、さまざまな品を日本へもたらした。その時一緒に伝わった当時の「素菜」(スーツァイ、いわゆる中国式の精進料理)が普茶料理である。「普茶」とは「普(あまね)く衆人に茶を施す」や「茶礼に赴く赴茶から」という意味とされ、茶による接待のことである。法要や仏事の終了後に僧侶や檀家が一堂に会し、供えられた季節の野菜や、乾物や豆、特に大豆を調理し、幼長男女の別なく食卓を囲み煎茶や抹茶などと楽しむ食事。
基本的に一つの長方形の座卓(卓袱台、ちゃぶだい)を4人で囲み、一品ずつの大皿料理を分け合って食べるという様式が非常に珍しがられた。禁葷食の精進料理であり、薬膳に通じる医食同源の料理でもある。料理においても中国風のものが多く、巻繊(野菜や乾物の煮物や餡かけ)・油糍(下味をつけた野菜などを唐揚げにしたもの)や雲片(野菜の切れ端を炒め、葛寄せにしたもの)・擬製料理(肉や魚に擬した「もどき」料理。麻腐、すなわち胡麻豆腐も白身魚の刺身に擬した「もどき」料理である)などがある。炒めや揚げといった中国風の調理技術には胡麻油が用いられ、日本では未発達であった油脂利用を広めた。